ぶどう膜とは、虹彩(こうさい)・毛様体(もうようたい)・脈絡膜(みゃくらくまく)の3つの眼球内の組織をまとめた呼び方です。何らかの原因でこのぶどう膜に炎症が起きる病気を『ぶどう膜炎』といいます。
ぶどう膜炎の原因の約半数は、ベーチェット病・サルコイドーシス・原田病の三大ぶどう膜炎が占めています。三大ぶどう膜炎のほかにも膠原(こうげん)病、関節炎、糖尿病、あるいは血液疾患や悪性腫瘍などの数10種類以上のものが原因になります。このように全身の異常が原因となることがあるので、全身の詳しい検査や注意が必要になります。
しかし、ぶどう膜炎の原因がはっきりと診断できるのは、全体の5割程度です。どうしても原因がわからない場合も5割あります。
ぶどう膜炎は、炎症が前眼部に限局する場合などにはステロイドの局所治療で十分に治療できることも多いのですが、治療が困難なものや慢性に炎症が続くものもみられます。治療を放置してしまうと炎症や合併症などのために網膜や視神経が傷害されて視力の回復が困難になることや、あらゆる治療を試みても視力の低下を防ぐことができない場合があります。