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HOME»  目の病気について»  視神経炎・視神経症

視神経炎とは

視神経炎は眼球の後ろにある視神経に炎症がおこって視力低下や視野狭窄をきたす病気です。片眼あるいは両眼に起こることもあります。
視神経症と呼ばれるものも含まれています。


 
 

視神経炎の症状は

  • 急にみえにくくなる
  • 眼を動かすと痛い
  • 視野が欠ける
  • 色がおかしい
  • ちらつきがわからない
  • 瞳の大きさがおかしい

 
 

視神経炎には以下のようにいろいろなタイプがあります。

特発性視神経炎 視神経炎の原因が特定できないもの。
多発性硬化症 神経を包んでいる神経鞘の成分(ミエリン)に対する自己免疫により、神経が脱髄して発症します。四肢や体幹のしびれや脱力を伴うことがあります。
動脈炎性の虚血性視神経症 高齢者に多く、血管に対する自己免疫による炎症が原因で発症します。側頭部(こめかみの付近)の痛みを伴うことがあります。
非動脈炎性の虚血性視神経症 比較的高齢者に多く、動脈硬化などが原因で眼に循環している血管が詰まって起こります。
鼻性視神経症 蓄膿症が悪くなると視神経を圧迫して障害します。
他にはシンナーなどの有機溶剤による中毒性視神経症、レーベル病などの遺伝性視神経症、外傷性視神経症、ビタミンなどの栄養欠乏性視神経症、腫瘍や動脈瘤などによる圧迫性視神経症などがあります。

 
 

視神経炎の検査

視神経炎の診断には以下のような検査が必要ですが、原因がはっきりとわからない事もあります。

視力検査

視野検査

視野が欠損したり狭くなっていないか、その程度を調べます。

蛍光眼底造影

散瞳して視神経を含めて眼底を検査します。

血液検査

血液の中に視神経炎の原因となる物質や病原菌があるかどうかを調べたり、炎症によって濃度が高くなる物質があるため、採血にご協力いただいて血液検査を行います。

造影CT検査

視神経は頭蓋内へとつながっているため造影剤を用いたコンピューター断層(CT)撮影を行います。ヨード造影剤は比較的安全なものですが、ショックを起こすこともありますので、エビやカニ、ヨード造影剤でアレルギーがあるかたは必ず申し出てください。

以下は必要に応じて検査にご協力いただきます。

髄液検査

神経内科を受診していただき、脳脊髄液を採取して調べます。

側頭動脈生検

脳外科を受診していただき側頭動脈(血管)を採取して調べます。


 
 

特発性視神経炎の治療

特発性視神経炎は視神経の炎症が関係していますので、治療にはステロイドパルス療法を行います。炎症を抑える作用が強いステロイド剤を大量に短期間使用するものです。ステロイド剤は体内で産生される副腎皮質ホルモンの一種で、正常人で一日約5mgが分泌されており、その約200倍である1000mgを一日あたり点滴で合計3日間使用します。強い効果が期待できますが重篤な副作用が出ることがあり、その場合は早急に対処する必要があるため通常2週間程度の入院が必要です。特発性視神経炎の場合は自然に治癒することがあり、一年程度の長期間を経過した時点ではステロイドパルス療法を行わなかった場合と変わらない可能性がありますが、有効な場合は視機能の改善を早めることができます。ただし効果には個人差があり、不充分な場合や無効な場合もあります。効果が不充分であった場合、2回目、3回目を行うことがあります。主な合併症には以下のようなものがありますが、記載した以外の合併症もあります。なお、その他の視神経炎あるいは視神経症に対しては、それぞれの原因に応じた治療を行います。

ステロイド剤の全身的な副作用

  • 皮膚
    にきび・湿疹。皮膚が薄くなる。多毛。
  • 循環器系
    高血圧。カリウムやナトリウムのバランスが崩れる。
  • 内分泌代謝系
    体重増加、顔が丸くなる。高血糖・糖尿病の悪化。高脂血症
  • 消化器系
    胃潰瘍・十二指腸潰瘍。膵炎。食欲亢進。便秘や下痢。
  • 免疫系
    免疫力の低下。易感染性(ウィルスや細菌に感染し易くなる。)
  • 骨・筋肉系
    骨粗鬆症。無菌性骨頭壊死。筋力の低下。
  • 中枢神経系
    不眠。精神失調。

ステロイド剤の眼の副作用

  • 白内障
  • 緑内障
  • 角膜や眼内の感染症誘発
  • 網膜の障害

ステロイド剤は他の薬剤との組み合わせによっては薬の効果が弱くなったり副作用が強くなったりします。他の病気でお薬を飲まれるときは申し出てください。

ステロイドパルス療法中に麻疹(はしか)、風疹、水痘(みずぼうそう)、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)などのウィルス感染症にはじめてかかった場合、重症で死亡した例もあります。かかったことがない人は必ず申し出てください。

ステロイドパルス療法についてご不明な点はいつでも担当医師にお尋ねください。

関西医科大学眼科 神経眼科外来